塩谷歯科医院

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プラークの役割と歯肉炎・歯周炎の違い

今回は歯周病について、少し詳しく説明したいと思います。

歯周病は成人の8、9割が経験する多発する病気ですが、なぜ起こるのか、どう予防すれば良いのかイメージしにくい病気だと思います。

人の口の中には多数の細菌が生息しています。歯みがきが不十分な部分には、細菌が集まってプラークと呼ばれる固まりを作ります。プラークが歯と歯肉の境目に長期間付着すると、歯周病原性菌が増殖します。これらの菌は血液中のタンパク質を栄養源とし、体組織へ侵入しようと毒素を産生します。 人の体は体内へ外敵である細菌が侵入しようとすると、免疫系は白血球などの「防衛部隊」を現場に動員します。

そこで外敵である最近と戦うので歯肉は戦場となり、「焦土」のような状態に陥ります。これが炎症の正体です。炎症により歯肉は腫れたり出血しやすくなります。初期段階では歯槽骨(歯の周囲の骨)にまでは及んでいません。この段階を歯肉炎と呼びます。

「防衛部隊」が外敵である細菌の侵入を食い止めようと努力しても、細菌の塊であるプラークが増えると徐々に劣勢に立たされ、歯肉が下がり歯周ポケットが形成されます。 ポケット形成後、細菌の活動がさらに活発化し、炎症は歯周ポケットより深いところまで進み、やがて歯の支持組織である骨などの部分にまで及びます。すると歯槽骨(歯を支える骨)は炎症を逃れるため吸収されます。これが歯周炎です。そうすると更にポケットは深くなり炎症が拡大、やがて歯の根元まで進み、最終的には歯の喪失につながります。

「歯槽骨吸収(歯を支えている骨が無くなること)が歯周炎の特徴」と言われますが、正確には「歯肉炎+付着喪失」が歯周炎定義です。歯槽骨・歯根膜・セメント質などの付着組織の喪失がポイントです。

歯科医院の役割

家庭の歯ブラシでは歯肉縁上プラーク(歯肉の上のプラーク)は除去できても、歯肉縁下プラーク(ポケット内のプラーク)や歯肉縁下歯石(ポケットの奥の歯石)は除去困難です。プラークが残存すると炎症は改善せず、むしろ悪化の恐れがあります。

また、歯肉縁下歯石の周囲にプラークが付着しやすくなります。 これらを除去し歯肉を正常化するのが歯科医院の仕事です。具体的にはスケーラーなどの専用の器具でポケット内の汚れを丁寧に取り除きます。ただし、除去しただけでは治癒しません。患者自身が清潔に保持できるよう指導も行います。日頃のブラッシングが不十分だとプラークがまたポケットに入り込み、炎症再発の恐れがあるためです。

医院の専門的ケアと、患者のセルフケアの両方が欠かせません。歯科医院でプラークや歯石を除去したあともきちんとセルフケアを続けましょう。

定期検診で口腔環境を保つ

広範囲に歯周病が及んでいる場合、4-6回の複数回に分けてプラークや歯石を除去します。治療終了後、歯肉が治癒するまで時間を空けて再検査します。ポケットがなく出血が止まっていれば一旦治癒したと判断できます。

その後は2−3ヶ月のペースで定期的にメインテナンスを行い、再発がないかチェックします。ブラッシング指導や歯のクリーニングを行います。

形の複雑な歯、特に奥歯では1回の治療で完全に除去は困難であり、追加で同じ治療やフラップ手術が選択されることもあります。いずれにせよ、効果は患者の日常的な口腔ケア次第です。歯周病治療には患者の協力が不可欠なのです。

最後に、歯周病の治療は、歯科医院と患者との協力によって成果を上げることができます。定期的な歯科医院でのチェックと、正しいブラッシング方法を続けることで、お口の健康を維持しましょう。

ご予約・ご相談はお気軽にどうぞ

加西市 歯医者 塩谷歯科医院  電話番号 0790-48-3690

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