塩谷歯科医院

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歯のう蝕を防ぐには? バイオフィルムとの上手なつき合い方

今回は、口の中に生息する細菌がう蝕の発生にどのように関係しているのかをテーマに、カリエスコントロールの重要性について解説したいと思います。

私たちの口の中には、思いのほかたくさんの細菌がすんでいます。1000種類以上もの細菌が集まって生態系を作っていて、お互いにバランスを保ちながら共生しているのです。

この細菌の集落はバイオフィルムと呼ばれ、歯の表面に張り付いて、う蝕や歯周病の原因になっています。カリエスコントロールでは、最初にこのバイオフィルムに対処する必要があります。患者さんにバイオフィルムについて理解してもらい、口腔清掃の改善を図るのが第一歩です。

では、バイオフィルムはう蝕の発生にどのように関係しているのでしょうか。

私たちが糖分を摂取すると、バイオフィルムの細菌が糖を分解して酸を作り出します。酸によってpHが下がると、酸に強い細菌が生き残るようになり、バイオフィルムのバランスが崩れていきます。するとう蝕が進行しやすくなるのです。

適切にバイオフィルムを取り除けば、う蝕の基盤をなくすことができるのです。

ある研究で12人の歯科学生が23日間歯磨きをやめたところ、全員にう蝕が進行しました。中には糖分を摂取したグループでは、より進行が早かったという結果も。これはバイオフィルムがう蝕の直接の原因で、糖分は間接的な原因であることを示唆しています。

最初にエナメル質にう蝕ができるメカニズムは以下のように考えられています。

通常、口の中のpHは中性の7.0ですが、糖分摂取後にバイオフィルムで酸が作られると、pHが低下していきます。バイオフィルム中のpHがエナメル質の臨界pH 5.5を下回ると、エナメル質からミネラルが溶出し始めます(脱灰)。唾液によってpHが中和されて臨界を超えると、ミネラルが戻ってくる(再石灰化)というプロセスが起こります。

脱灰の時間が長いとエナメル質の喪失が進み、う蝕の原因となるのです。

有名なステファンカーブも、ブラッシングの重要性を示しています。3-4日ブラッシングを中止してプラークを成熟させ、糖分摂取後のpH変化を調べたところ、ブラッシングしていない歯のプラーク中pHは急速に低下しました。一方、ブラッシングした歯ではpHはほとんど変化しませんでした。バイオフィルムがないとpHは低下しにくいことが分かります。

では、1日何回歯を磨けばいいのでしょうか。研究によると、12回と3回以上を比較するとう蝕の発生率に大きな差はないそうです。2回以上磨くことを推奨しましょう。

ただし、ただ磨いているだけでなく、すべての部分がきちんと磨けているかが大切です。ブラシが当たっていない部分は、磨いていないのと同じ。患者さん自身にも歯ブラシが届いていない部分を知ってもらうことが必要です。

このように、バイオフィルムコントロールのためには12回のきちんとしたブラッシングが不可欠なのです。

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