塩谷歯科医院

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むし歯とプラークの関係

人の体には自分の細胞より多くの細菌の細胞が存在し、私たちは常在菌と共存しています。お口の中では約1000種類近くの細菌が集団(プラーク)を作り、バランスをとりながら独自の生態系を築いています。
→実際の細菌の写真などがはありますか?もし、あれば投稿する際に写真も付けて投稿するのはいかがでしょうか?
細菌たちが歯に形成するプラークは、歯の二大疾患である「むし歯」と「歯周病」の直接の原因となり、全身疾患とも関わります。そのためプラークを普段からのブラッシングで除去することが大切になってきます。

今の虫歯の病因論は生態学的プラーク説が支持されています。
虫歯はMS菌など特定の細菌の感染によって起こるのではなく、口腔内の常在菌の生態の変化によって起こるとする考え方です。
以下の4つのステップで説明されます。
①頻回な糖の摂取により。バイオフィルム中のさまざまな細菌が糖を代謝して頻回に酸を産生します。その酸により、細菌にストレスがかかることで細菌の酸産生と耐酸性が増します。
②バイオフィルム中のpHが酸性に傾き、環境の変化が起こります。
③バイオフィルム中が酸性になると酸に弱い細菌は生き残れなくなり、MS菌、乳酸桿菌、ビフィズス菌など酸性環境で生き残れる細菌が優勢になります。すなわち生態の変化が起こります。
④酸性の環境で生き残った細菌がさらに酸を産生し、歯面の脱灰が進んでう蝕が進行していきます。
頻回の糖の摂取や唾液の減少はう蝕リスクを高め、口腔清掃やフッ化物の使用はリスクを低下させます。

口の中のpHは約7.0の中性ですが、飲食などによって糖が口の中に入り、歯面に着いたプラークに取り込まれると、プラーク中の細菌が糖を代謝して酸を出し、pHが低下していきます。
歯の溶け出すpHを「臨界pH」と言い、エナメル質ではpH5.5象牙質でpH6.0です。プラーク中のpHが臨界pHを下回ると、プラークと接している歯の表面からカルシウムやリンなどのミネラルが溶け出していきます。これを「脱灰」と言います。
 一方、唾液によって酸が中和されプラーク中のpHが臨界pHを上回ると溶け出したカルシウムやリンを取り込んでいきます。これを「再石灰化」と言います。
プラークの付いている歯の表面では脱灰と再石灰化が繰り返されており、脱灰している時間が多くなるとむし歯になります。プラークがあるから必ずむし歯になるわけではありませんが、プラークなしにむし歯ができることはありません。

論文では歯磨きの有無が歯面に付いたプラーク中のpHに与える影響を調べています。歯磨きを3〜4日中断して前歯に付いたプラークを成熟させブドウ糖液でうがいをするとプラークのpHは1〜2分で下がり始め、臨界pHを大きく下回りました(脱灰)。その後唾液の緩衝能により30〜60分かけて徐々にpHは回復しました(再石灰化)。
左側前歯のプラークをブラッシングで除去して、もう一度ブドウ糖液でうがいするとブラッシング下部分は臨界pH以下になりませんでした。歯面にプラークが付いていなければ、飲食してもpHの低下は起こりにくいことがわかります。

参考
Marsh PD.Microbial Ecology of Dental Plaque and its Significance in Health and Disease.adv Dent Rws.1994;8(2):263-271

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