メディア記事
一日の歯磨き回数
みなさんは一日何回歯磨きされていますか?
1日3回毎食後磨くのがいいと思うが、なかなか3回磨けないという方も多いのではないでしょうか?
今回は1日何回磨くのがいいのかというのを歯肉炎、虫歯の観点から説明します。
歯肉炎は歯のプラークによって引き起こされる歯茎の病気です。プラークが蓄積することで歯肉に炎症が起き、歯と歯茎の溝からの出血が特徴です。この歯肉炎が進行すると歯を支える骨が溶け歯周病へ進行します。歯肉炎と歯磨きの回数を調べた研究では、1日2回、1日1回、2日1回、3日1回を30日間で比較しています。研究の結果では1日2回と1日1回の歯磨きでは30日間歯肉炎は見られませんでした。一方、2日1回、3日1回の歯磨きでは歯肉炎症状の増加が見られました。この研究では1日1回以上歯磨きをすれば歯肉炎の症状は増加しないとういうことになります。
それでは虫歯の観点から見てみましょう。
虫歯もプラークの蓄積によってそのプラーク中の菌が酸を酸性し、プラークが酸性に成熟することでさらに酸が作られ虫歯が進行します。
古い研究ですが、歯磨きを中断してプラークを成熟させ、砂糖液でうがいを行った時のpHの変化を見たもので、プラークの成熟が2日を超えると糖が口の中に入ってきた後にプラーク中のpHが大きく下がり歯が溶ける臨界pHより低くなりました。なかには1日目から臨界pHを下回る人もいました。臨界pHを下回る時間が長くなれば長くなるほど歯の脱灰が進みため、虫歯には1日1回はしっかりと歯を磨くことが大事だとわかります。
また別の研究では1日1回歯磨きをする人はそうでない人より虫歯の発生が少ないといわれており、さらに1日1回歯を磨く人より1日2回以上歯を磨く人のほうが虫歯の発生が少ないとあります。ただ、1日2回磨くのも1日3回磨くのも虫歯の発生は変わりませんでしたので、虫歯の予防には1日2回以上磨くのがいいと言えます。
歯肉炎、虫歯、両方の観点から考えると1日2回以上の歯磨きが大事であると言えます。
1日3回磨けない方も多いと思いますが、1日2回以上を目安にしてください。
ただ磨いていても歯ブラシが当たっていない場所、プラークの残ってしまう場所は磨いていないのと同じように虫歯も歯周炎も進行してしまうので歯科医院での定期健診等で磨き残しを確認するのも大事です。
参考文献)
Tatiana M P Pinto , Guilherme C de Freitas, Danilo A Dutra, Karla Z Kantorski, Carlos H Moreira : Frequency of mechanical removal of plaque as it relates to gingival inflammation: a randomized clinical trial.Jornal of Clinical Periodontology.40(10):948-954,2013.
Kumar S. Tadakamadla J. Johnson NW. Effect of Toothbrushing Frequency on Incidence and Increment of Dental Caries: A Systematic Review and Meta-Analysis. J Dent Res. 2016;95(11):1230-1236
Lmfeld T, Lutz F.Intraplaque acid formation assessed in vivo in children and young adults. pediatric Dentistry.1980;2(2):87-93
Lmfeld T. In vivo assessment of plaque acid production. A long-term retrospective study. In:Health and suger substitutes. ERGOB conference on suger substitutes, Geneva, 1978:Proceedings. Karger,1978;218-223