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歯を失うと心臓病リスク?【加西市・塩谷歯科医院】
目次
この記事でわかること
- 歯を失った本数と心臓病・脳卒中リスクの関連
- 55万人超を追跡した日本の研究でわかったこと
- 「数本だけなら大丈夫」とは言い切れない理由
- 歯を守るために今日からできる対策
- 研究結果を読む際の注意点
先に結論(忙しい方向け)
ただし、この研究は「歯を失うと心臓病になる」と因果関係を証明したものではありません。歯の喪失を、虫歯や歯周病の累積的な負担を知らせるサインとして受け止め、早い段階から原因評価と予防に取り組むことが大切です。
歯の喪失と心血管疾患を調べた大規模研究
2026年に Journal of Periodontology に掲載された研究では、日本の医療保険請求データと健康診断データを用い、40〜64歳の成人551,386人を5年以上追跡しました。
研究者は、親知らずを除く「失った歯の本数」と、心筋梗塞・狭心症・脳卒中・心不全・心房細動・肺塞栓症などを合わせた心血管疾患の発症との関連を解析しています。
年齢、性別、肥満、高血圧、脂質異常、HbA1c、喫煙、飲酒、身体活動、服薬状況などを統計的に調整したうえで、歯の喪失本数と疾患リスクの関係が直線になると決めつけず、曲線として評価した点が特徴です。
主な研究結果
- 追跡期間中に17,471人が心血管疾患を発症
- 歯の喪失本数と心血管疾患リスクには、統計学的に有意な非線形の関連が認められた
- 歯を失っていない人を基準にすると、4本喪失時のハザード比は約1.09
- 5本喪失時は約1.10、27本喪失時は約1.21
- 心筋梗塞・狭心症などの虚血性心疾患、脳卒中でも似た傾向がみられた
「4本を超えた瞬間に危険になる」という意味ではありません。むしろ、明確な安全域や境界線はなく、最初の数本を失った段階からリスクとの関連が現れていたと読むべき結果です。
なぜ少数の歯の喪失でも関連するのか
研究だけで仕組みが確定したわけではありませんが、著者らは歯周病や虫歯の既往との関係を挙げています。
歯の喪失は過去の病気の記録でもある
成人が歯を失う主な原因は、歯周病と虫歯です。失った歯の本数は、現在の噛む機能だけでなく、これまで口の中で起きた炎症や感染の累積的な影響を反映している可能性があります。
特に歯周病は、歯ぐきだけにとどまらない慢性炎症です。歯周組織でつくられた炎症性物質や細菌由来成分が血流を介して全身に影響し、血管の健康と関係する可能性が研究されています。
最初に失われやすい奥歯も無視できない
今回の研究では、歯の喪失が少ない人ほど奥歯を失っている傾向がありました。奥歯は根の表面積が大きく、強い咬合力を受けるため、歯周病や虫歯の影響が複雑に重なることがあります。
ただし、奥歯を抜いたこと自体が心血管疾患を引き起こすと証明されたわけではありません。重要なのは、なぜその歯を失ったのか、残っている歯に同じ原因が続いていないかを確認することです。
年代によって関連の形は異なる
年齢別の解析では、40代で0〜4本の範囲のリスク上昇が目立ち、その後は緩やかになりました。50代では0〜27本まで広い範囲で関連がみられ、60〜64歳では増加傾向はあったものの統計学的に明確ではありませんでした。
この違いには、対象人数、追跡期間、働いている人が多い保険集団の特徴などが影響した可能性があります。「若ければ1本失っても問題ない」「高齢なら仕方がない」と単純化はできません。
この研究から言えること・言えないこと
| 言えること | 言えないこと |
|---|---|
| 歯の喪失本数と心血管疾患発症には関連がみられた | 歯の喪失が心血管疾患の直接原因である |
| 少数歯喪失の段階でも関連がみられた | 歯を治療すれば心血管疾患を確実に防げる |
| 明確な安全本数の境界は確認されなかった | 個人の発症確率を歯の本数だけで判断できる |
この研究は観察研究です。喫煙、高血圧、糖尿病、生活習慣、社会経済状況など、歯の喪失と心血管疾患の両方に関係する要因を完全には取り除けません。また、歯科を受診した人だけが解析対象で、歯を失った直接の原因や歯周病の重症度も詳しく評価されていません。
心臓病や脳卒中の予防では、内科での血圧・血糖・脂質管理、禁煙、運動、食事などが基本です。歯科受診はそれらの代わりではなく、全身管理を支える一要素です。
歯を守るために今日からできる5つのこと
- 出血を放置しない
- フロスや歯間ブラシを使う
- 痛みがなくても定期的に検査する
- 失った原因を評価する
- 内科治療と並行して口腔管理を続ける
塩谷歯科医院の予防歯科・定期メンテナンスでは、担当歯科衛生士による検査、セルフケア支援、専門的なクリーニングを行っています。
検査・治療の期間、痛み、費用の目安
期間と通院頻度
初回は口腔内診査、歯周ポケット検査、必要に応じたレントゲン検査などで状態を確認します。歯周病治療が必要な場合は、炎症の程度や歯石の付着範囲に応じて複数回に分けることがあります。安定後のメンテナンス間隔は一律ではなく、一般に3〜6か月程度を目安として、リスクに応じて個別に決めます。
痛み
検査や通常のクリーニングでは強い痛みが出ないことが多いものの、炎症が強い部位や歯ぐきの深い場所の処置では、しみる・響く感覚が出ることがあります。必要に応じて麻酔を使用します。
費用
虫歯・歯周病の検査や治療は、病状と処置内容によって保険適用になる場合があります。自己負担額は負担割合、検査、処置、通院回数で異なり、3割負担では1回あたり数千円程度になることがあります。自費のクリーニングや補綴治療は別料金です。診察後に内容と見積もりをご確認ください。
よくある質問
Q1. 歯を1本失っただけでも心臓病になりますか?
いいえ。この研究は個人の発症を予測するものではなく、1本の喪失が心臓病を直接起こすと証明したものでもありません。ただし、歯を失った原因が残っていないかを確認するきっかけにはなります。
Q2. 歯周病を治せば心筋梗塞や脳卒中を予防できますか?
歯周病治療だけで心筋梗塞や脳卒中を予防できるとは断定できません。血圧、血糖、脂質、喫煙などの管理を優先しつつ、口腔内の炎症を減らし、歯の喪失を防ぐことが重要です。
Q3. 抜けた歯をインプラントや入れ歯で補えばリスクは元に戻りますか?
補綴治療は噛む機能や見た目の回復に役立ちますが、今回の研究から心血管疾患リスクが元に戻るとは言えません。補うことと同時に、歯を失った原因への対策が必要です。
Q4. 歯周病の検査は痛いですか?
細い器具で歯周ポケットの深さや出血を確認します。炎症が強い部位ではチクッと感じることがありますが、通常は短時間です。痛みが不安な方は事前にお伝えください。
Q5. 心臓病の薬を飲んでいても歯周病治療を受けられますか?
多くの場合は可能ですが、抗血栓薬の種類、心疾患の状態、手術歴などの確認が必要です。薬を自己判断で中止せず、お薬手帳を持参してください。必要に応じて医科の主治医と連携します。
Q6. 歯科メンテナンスは何か月ごとがよいですか?
一律ではありません。歯周病の重症度、磨き残し、喫煙、糖尿病、過去の虫歯などを踏まえ、3〜6か月程度を目安に個別に設定します。
まとめ
歯ぐきから血が出る、歯が揺れる、歯を失った原因がよくわからない、しばらく歯科検診を受けていない方は、早めの確認をご検討ください。
参考文献
- Kusama T, Tamada Y, Miyano T, et al. Non-linear association between tooth loss and cardiovascular diseases among middle-aged adults. Journal of Periodontology. 2026. https://doi.org/10.1002/jper.70167
- Cheng F, Zhang M, Wang Q, et al. Tooth loss and risk of cardiovascular disease and stroke: a dose-response meta analysis of prospective cohort studies. PLoS One. 2018;13:e0194563.
- Hajishengallis G, Chavakis T. Local and systemic mechanisms linking periodontal disease and inflammatory comorbidities. Nature Reviews Immunology. 2021;21:426–440.
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他院で抜歯が必要と言われた方、歯が揺れる・歯ぐきから出血する方も、まずは現在の状態と選択肢を確認しましょう。適応や治療法は診察・検査のうえで個別にご説明します。
監修:塩谷歯科医院(加西市) 院長 塩谷耕司
※本記事は一般的な医療情報の提供を目的とし、個別の診断・治療を代替するものではありません。

